・・・前回からのつづきです・・・・
分配の基準
分配の基準としては、「必要に応じて」、「労働に応じて」、「貢献に応じて」、「責任に応じて」、「リスクに応じて」等が考えられます。
自然的格差が社会的格差として現れにくいのは、「必要に応じて」とか労働生産性を問題にしない「労働に応じて」でしょう。
「貢献に応じて」になると自然的な格差が貢献する格差に反映することになると思います。
「責任に応じて」というのは、貢献を目的とした活動が常に成功するとは限らないので失敗したときに責任を背負う者が必要で、その者のリスクに対して分配する考え方です。分配しないと責任をとる者がいなくなってしまいます。
「リスクに応じて」というのも貢献には失敗があるので、失敗の可能性は大きいが貢献する可能性も大きい場合の分配基準の一つです。
基準の選択
いずれを基準にするかは難しく、全ての人間関係を一律の基準で律するのは無理で、人間集団の目的や人間関係の親密さによって変わると思います。
例えば民法では、円満な夫婦・親子は「必要に応じて」が分配原理で、夫婦や親の子に対する関係は「必要に応じて」融通し合う関係であり、特に子に対する関係では、貢献をほぼ問題にしません。
「一杯の飯を分け合って食べる」関係です。そこで、必要に応じて分配しない場合には搾取になります。
ところが離婚に際しての清算的財産分与は、他人行儀になり「必要に応じて」ではなく「貢献(寄与)に応じて」分けることになります。
そこで、夫が自分の貢献よりも多く財産を取得すると搾取ということになります。
他人間の社会的関係における分配基準は「貢献に応じて」が原則となっています。
「労働に応じて」という考え方や「責任又はリスクに応じて」という要素もありますが、基本は貢献でしょう。
責任やリスクに分配するのは、貢献を伸ばすためだからです。
では、貢献が一次的な分配基準となるのはなぜなのか。
その理由を、生産の 場面と消費の場面の両面から考えてみます。
・・・次回につづきます。