• 名誉棄損訴訟からファンドの問題と表現の自由を考えました
  • 投稿日:2014年12月22日

 野中郁江明治大学商学部教授が雑誌「経済」に,あるファンドの問題性についての論文を発表する等したところ,それが名誉棄損であるとして,そのファンドの経営者らから高額の損害賠償を請求する訴訟を起こされました。野中教授は,この訴訟は,言論封殺を狙った不当な訴訟(いわゆる「スラップ訴訟」)であるととらえ,逆に損害賠償請求の反訴の提起までして,ファンドと争う,このような事件が起こりました。

 

 この事件に注目をし,野中教授ご本人にも講師をお願いし,「ファンド」と「スラップ訴訟」を取り上げて事務所学習会を開催しました。ファンドが日本経済に与える影響,企業が多額の賠償を求めて私人に対して起こす訴訟の実態等について,これまでになく理解を深めることができたと感じています。

 

 さて,まだ継続中のこの訴訟ですが,重要な部分について真実性の証明があるなどの理由で,1審,2審とも,ファンド経営者らの請求が棄却されています(なお,反訴請求も棄却されました。)。野中教授の奮闘により,また,この訴訟を契機に,「学問研究と表現の自由を守る会」が結成されるなどして,支援の運動がひろがったことにより,むしろ,野中教授が探究した真理に,多くの光があたったといえるのではないでしょうか。

 

 しかし,「物言えば唇寒し・・・」という表現の自由が保障されない社会は,「個人として尊重される」(憲法13条)人々が生きにくい社会です。表現の自由をおびやかす政治的な動きが昨今増えてはいないか,注視していかなければならないと考えています。

弁護士 田中浩介

 

 

 (11月25日、野中教授、同じく明治大学商学部教授の福田邦夫氏を講師にお迎えし、“「ファンド経済」は何をもたらすか“をテーマに事務所学習会を開催しました。当日は、50名にも上る方々にご参加いただき、会場は満席、盛況となりました。)

 

 






ページトップへ