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  • 九条俳句不掲載事件、提訴しました!
  • 投稿日:2015年7月22日

 

1 すでに新聞等で報道され、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、6月25日に、さいたま地方裁判所に、「九条俳句不掲載損害賠償等請求事件」が提訴されました。

 弁護士20人以上から成る「九条俳句不掲載損害賠償等請求事件」弁護団には、弊所からは、佐々木、斉藤、根本が参加し、佐々木が団長を務めています。

 

2 この事件の発端は、昨年6月に遡ります。

 訴訟の原告は、市民の俳句サークルに参加していた70代女性です。彼女の参加する俳句サークルの活動場所は、さいたま市大宮区にある三橋公民館です。

 彼女は、昨年6月に、外出先でデモ行進を見かけ、その情景を俳句に詠み、俳句サークルで発表しました。それが、「梅雨空に 『九条守れ』の 女性デモ」です。

 この「九条俳句」は、サークル内で秀作として選ばれ、三橋公民館の職員に提出されました。公民館の職員に俳句を提出した理由は、「九条俳句」を、三橋公民館が発行する「公民館だより」に掲載してもらうためでした。それまでの4年近く、毎月、彼女の参加するサークルは、メンバーが選出した1句を公民館に提出し、それがそのまま翌月の「公民館だより」に掲載されてきました。そのため、「九条俳句」も、これまでの通りにしただけでした。

 しかし、「九条俳句」を提出した翌日、三橋公民館は、「掲載できません」と、サークル側に伝えてきました。本人含め俳句サークルのメンバーは、掲載を求めましたが、公民館は、「公平中立の立場であるべき」などの理由で、改めて、掲載しない態度をとりました。

 その後、この件が新聞等で報道され、市民団体が掲載を求めてシンポジウムを行うなどしましたが、結局、1年たっても、公民館の考えは変わりませんでした。

 彼女は、行政が、芸術作品である俳句の内容に立ち入り、これは良い、これはダメと判断することがどうしても納得できず、掲載拒否を告げられてからちょうど1年である今年の6月25日に、九条俳句の掲載と、掲載拒否により被った苦痛の賠償を求め、さいたま市を訴えました。

 

3 この件は、開かれた学習の場であるはずの公民館において、行政が、市民の表現の自由に不当な介入をしたという事件です。表現の自由や学習権は、憲法で定められた国民の権利です。このような介入が許されるとしたら、市民の学習や表現活動が萎縮してしまい、ひいては民主主義の根幹を揺るがす大問題となってしまいます。

 

 「九条俳句不掲載損害賠償等請求事件」事件弁護団は、表現の自由や学習権を守るため、今後も、全力を挙げて活動します。

 

 第1回の裁判期日は9月に予定されています。みなさま、応援をお願いします!

 

弁護士 根本明子

 






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