最初に紹介するには王道すぎるかも知れませんが、個人的に思い入れの強い作品。
1961年にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードというクラブで行ったライブをそのまま収録したアルバムです。曲の後ろで観客がワイングラスを傾けている音まで録音されています。
ピアノ、ウッドベース、ドラムスという最小限の構成で静かに聴かせるので、ジャズに不慣れだった当時の私でもすぐに受け入れることができました。とくに、アルバムのタイトルにもなっている「Waltz for Debby」は、テーマのメロディが美しく、夜のデートのBGMにぜひ選びたくなります。
ところが、この曲をよく聴いてみると、いたるところで、誰かがミスをしたら曲が止まってしまいそうな、綱渡りのような緊張感の中で演奏されているのがわかります。うん、男女の関係みたいですね。
ほかにも、映画「愚かなりわが心」の主題曲にもなった「My foolish heart」、帝王マイルス・デイヴィスの有名曲のカバー「Milestones」、エヴァンス本人もお気に入りだった「My Romance」など、おすすめ曲もたくさん収録されています。
アルバムジャケットもおしゃれです。CDショップで安く手に入るので、ぜひ一度聴いてみてください。きっと、ほかのアルバムも欲しくなります。
弁護士 斉藤耕平