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  • 弁護士山越悟のつぶやき ~格差・貧困の原因と生存権~ 6
  • 投稿日:2018年5月14日

・・・前回からのつづきです・・・・

 

生存権

 

生存権は、「貢献力」の有無にかかわらず、最低限の「必要に応じた分配」を保障するものだと思います。

これが、自然にできるなら問題がないのですが、人間の自己本位的性質及び貯蓄可能性の無限性等に照らせば、市場におけるトリクルダウンだけでは不足なのです。

そこで、自然的に難しいことをあえてやる理由、つまりなぜ生存権が必要なのかを考える必要があります。

これについては、案外憲法の教科書には書いてありません。

人間の尊厳にとって最低必要だからと書いてあることはありますが、これは道義上当然と言っているのと同じで、当たり前のようでもありますが、抽象的でよくわかりません。

また多ければ多いほど良いということにもなり、この理念だけで人間の本性を踏まえた現実的指針は導けないと思います。

 

私の思うところでは、生存権を保障する理由は多様であり、博愛(個人の尊厳)、協働の必要性、保険(狭義のセイフティーネット)、国民統合の必要性、平和・安全・衛生の維持等と様々なものが考えられると思います。

 

美しく言えば、愛情関係がない他人間において「最低限の親密さ(博愛)」を築くものです。

中間的表現で言えば「一般大衆の保険」です。

最悪の表現で言えば「犯罪と騒乱を防ぐ」ためです。

これらのために、生存権が必要なのです。

 

自分の中の敵は、他社の生存を容認し、侵略し合わないこと、助けあうことを求めもするということでしょう。

 

・・・次回につづきます。






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